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病気について

病気について

うつ病

どんな病気?
様々な原因で脳内のホルモンバランスが崩れた結果、気分の落ち込みや意欲の低下が続く病気です。日常生活の中で気分が落ち込んだり憂うつになったりといった感情は誰もが経験しますが、うつ病の場合、その程度が重く、期間が長くなります。気分が沈んだ状態が続くと、仕事や学校に行けなかったり、身体が動かすことができなくなったりして、生活に支障が出てきます。死んでしまいたいといった気持ちに囚われることもあります。

症状
【精神的な症状】
  • 気分が落ち込む
  • 意欲がなくなる
  • 喜んだり楽しんだりできない
  • 無関心になる
  • 頭が働かず集中できない、仕事でミスが増える
  • 物事を悲観的に考える
  • 著しい不安や焦り、イライラが生じる
  • 死んでしまいたいと思う

【身体的な症状】
  • 睡眠障害(不眠、過眠)
  • 食欲低下または過食
  • 性欲減退
  • 頭痛、腹痛など体の痛み
  • 胃もたれ、下痢、便秘などの消化器症状
  • 耳鳴り、めまい、動悸
  • 月経不順

【行動面の問題】
  • 昼間もずっと横になっている
  • 思うように仕事が進まない
  • 家事や育児ができなくなる
  • 口数が少なくなる
  • 飲酒量が増える

治療
まずは「こころ」と「からだ」をしっかり休ませ、その上で抗うつ薬などの薬物療法を行います。抗うつ薬は飲んだらすぐに効果が表れるような即効性のある薬ではありません。効果が表れるまでに2週間~1ヶ月ほどかかることもあるので、焦らず気長に服薬を続けましょう。十分な休息をとった後は、徐々に身体を動かしていくことが大切です。
また、うつ病は再発しやすい病気なので再発予防も大切になります。うつ病の原因となったストレスを振り返ることで、今後のストレスへの対処法を学びます。薬物療法や運動療法と併せて行うことで再発の予防に有効です。
当院にはストレスケア病棟があり、軽症から中等症のうつ病の方に対して、快適な環境で入院治療を受けていただくことができます。

双極性障害(躁うつ病)

どんな病気?
気分が上がる“躁状態”と、気分が沈む“うつ状態”が交互に現れる脳の病気です。躁うつ病と呼ばれていた時代もありました。性格や心の問題ではなく、遺伝的要因が大きいことが知られています。双極症のうつ症状だけではうつ病と区別がつかないため、最初はうつ病だと思われ治療が始まり、しばらく経って双極症と判明することもあります。双極症とうつ病では、治療の目標も、処方される薬も異なるため、以前に躁状態の時期があったかどうかを丁寧に確認し、正しく診断することが重要になります。

症状
(躁状態では)
  • なんでもできるような気になる
  • 気分が高揚して楽しくて仕方ない
  • 急に怒りっぽくなる
  • なぜか偉くなったように思う
  • 多弁で話がまとまらない
  • 次から次へとポンポンと考えが飛ぶ
  • 眠らずに夜中も行動する

(うつ状態では)
  • 気分が落ち込む
  • やる気が起きない
  • 今までのように楽しめない
  • ちょっとしたことで疲れやすい
  • 身体を動かそうとしても動かない
  • 自分はダメだと思い込む
  • 死にたい気持ちが続く

治療
うつ病の治療が、「うつ症状を改善すること」が目標になるのに対し、双極症の場合は「躁とうつの気分の波を小さくすること」が目標です。薬については、気分安定薬で気分の波の幅を小さくし、躁状態やうつ状態がひどい時には抗精神病薬を併用します。生活リズムを整えることで、気分の波が静まっていくこともあります。

統合失調症

どんな病気?
統合失調症はおよそ100人に1人くらいの人が発症すると言われており、稀な病気ではありません。脳の様々な働きをまとめる能力が低下し、幻覚や妄想、まとまりのない行動がみられます。明確な原因は不明であり、脳内のドパミンというホルモンが過剰であるという説や、脳の構造異常という説があります。早く治療を開始するほど回復も早いため、周囲の方が気付いた時には早めに受診を促してください。

症状
  • 頭の中で正体不明の声が聞こえ、命令してくる
  • 周囲の人が自分の悪口を言ったり、嫌がらせをしていると感じる
  • 自分の考えが周りにばれている気がする
  • 親しくない人が私のことを噂している
  • いつも誰かから見られている気がする
  • 考えたくないことが勝手に頭に浮かんでくる
  • 現実には起こっていないことを正しいと思い込んでしまう
  • 何か得体のしれない不安がある
  • 何を見ても感情が湧かない
  • 表情が乏しくなり、活気がなくなる
  • 独り笑い、独り言が多い

治療
抗精神病薬による薬物療法が有効であり、再発防止のための心理社会的療法も大切です。早く治療を開始するほど回復も早いため、症状が生じてから、できるだけ早く治療に繋がることが重要になります。
心理教育により、患者さんやご家族に病気の正しい理解を深めていただき、服薬継続の必要性を受け入れることで、症状がコントロールできるようになります。

パニック障害

どんな病気?
突然に、激しい動悸、息苦しくなる、脈拍が上昇する、震えがくる、胸が苦しくなる等の発作がおこり、そうしたパニック発作が繰り返される病気です。あまりに激しい症状のため、「死んでしまうのではないか」といった恐怖感も伴います。
発作は、10分~30分程度で治まることがほとんどですが、発作を繰り返すうちに、また発作が起こるのではないか、と恐れる“予期不安”が生じます。発作に対応しづらい場所に行けなくなる、“広場恐怖(外出恐怖)”が起こり、行動範囲が制限される場合もあります。

症状
  • 動悸・心拍数の増加
  • 窒息しそうな感覚
  • 発汗
  • からだの震え
  • 息切れ感または息苦しさ
  • 胸痛または胸部不快感
  • 吐き気または腹部の不快感
  • めまい、ふらつく感じ、気が遠くなる感じ
  • どうにかなってしまうんじゃないかとの恐怖
  • 死ぬんじゃないかとの恐怖

治療
セロトニンなどの脳内伝達物質のバランスを整える薬物治療が一般的です。栄養不足の視点から考えた方が良い場合もあります。
当院では、それぞれの方の症状に合わせて、適切な治療をご提案いたします。日常生活での工夫もご案内します。

社交不安障害

どんな病気?
対人場面での不安から、異常な動悸・震え・吐き気・赤面・発汗などの身体症状が出現し、対人を避け、日常生活に多大な支障をきたす病気です。かつては“あがり症”や“対人恐怖症”と呼ばれていました。会社のプレゼンなど他人の視線を浴びるかもしれない社会的状況に対する不安や緊張が強く、否定的な評価をされるような行動を恐れる状態です。単なる性格の問題ではなく、本来の生き方ができずに日常生活に支障がある場合は、治療することで症状が改善します。

症状
【精神的な症状】
  • 知らない人と話すことが怖い
  • 人前で話すことに強い不安を感じる
  • 知り合いと一緒に食事することが不安
  • 恥をかいたらどうしよう、笑われたらどうしよう、と考え込んでしまう

【身体的な症状】
  • 声が震える、声が出ない
  • 手足が震える
  • 発汗
  • 息苦しさ
  • 顔が赤くなる
  • 吐き気、嘔吐

治療
一般的に抗うつ薬を用いた薬物療法や、認知行動療法の有効性が認められています。他者から否定されることへの恐怖があり、そのような認知を見直し、行動の変化に繋げていくことが求められます。これまでの生活歴が影響して、症状の原因になっていることもあります。

強迫性障害

どんな病気?
強い不安やこだわりがあり、自分で無意味であるとわかっているにも関わらず、外出時に「玄関の鍵を閉めたか」などといった強迫観念が自分の意思に反して繰り返しかつ持続的に浮かび、その不安を解消するために「何度も玄関の鍵を閉めたか確認する」などの強迫行為をせずにいられない状態です。家族に確認を求めることもあります。そのようなことが毎日繰り返されると、日常生活に支障をきたし、本人も家族も疲弊していきます。

症状
  • 手が汚いのではないかと何度も手を洗う
  • 身体が汚れていると何時間もシャワーを浴びる
  • 家の中でも汚れた場所と見なすと、そこでは生活できない
  • 家の鍵をきちんと閉めたか、何度も確認する
  • ぴったりした感じが得られるまで同じことを繰り返す
  • 決まった時間にならないと食事が摂れない
  • 同じことを家族に何度確認しても安心できない

治療
認知行動療法と薬物療法を併行して実施します。認知行動療法では、強迫観念について現実的な視点から見直し、強迫行為に対して不安を感じさせる状況に敢えて曝露して、強迫行為を行わないことで、そのような状況に心身が馴れていくことを目標とします。SSRIなどの抗うつ薬を少量から開始し、副作用や効果を見ながら少しずつ増量することで、不安感が軽減して、認知行動療法に取り組みやすくなります。

発達障害

どんな病気?
発達障害は極めて簡単に言うと、得意なことと不得意なことの差が極端に大きく、そのことにより生活上の困難が生じている状態です。代表的なものとしては、自閉スペクトラム症、注意欠如多動症(ADHD)、限局性学習症、があげられます。
発達障害は障害とは気付かれにくく、周囲から必要なサポートを受けられず、患者さんは人知れず悩んで困っていることがあります。日々の困難が積み重なると、二次障害として、うつ病や不安障害などを伴うことがあります。
子供の頃から発達障害の特性があったとしても、大人になってから初めて気付かれる場合も少なくありません。生まれ持った発達の特性なのに、「わがまま」「自分勝手」とか「場の空気が読めない」と言われて辛い思いをしてきている人もいます。

症状
自閉スペクトラム症の症状
  • 相手の気持ちを察することが難しい。
  • 相手の言葉をそのまま受け取ってしまう
  • 意図せず相手を怒らせてしまう
  • 抽象的な表現が分かりづらい
  • 周囲の空気を読むということができない。よくわからない。
  • 周りの人が普通にやっていることが、自分はなぜかできない。
  • 相手と視線を合わせて話すのが苦手。相手の視線が怖い。
  • 特定の興味や行動に執着する
  • 特定のものを触ると落ち着く
  • こだわりが激しく、自分だけのマイルールがある
  • 予定外のことが起きるとパニックになる
  • 集団行動が苦手で無理に合わせようとすると辛くなる
  • 音や光に過敏で日常生活に支障が出ている

注意欠如多動症(ADHD)の症状
  • 忘れ物が多い
  • 集中が長続きしない
  • 複数のことを同時にこなすことが出来ない
  • 注意が維持できず、目に入ったことに関心が向かう
  • 期限までに物事をやり遂げられない
  • 指示されたことが頭に入らない
  • じっとしていることが出来ない 
  • いつも貧乏ゆすりをしてしまう
  • 喋り始めると止まらない
  • 整理整頓ができない
  • 思い付きで行動してしまう
  • 順番を待つことができない

限局性学習症の症状
  • 聞き取ることが難しい
  • 聞き逃したりすることが多い
  • 話すことが苦手
  • うまく言葉が出てこない
  • 話の筋道を立てて話すことができない
  • 読むことが苦手
  • 文章を読むのにとても時間がかかる(一字ずつ読む)

治療
得意なこと、不得意なことを心理検査などではっきりさせることで、苦手な状況を回避したり、対応を工夫したり、苦手な事柄によっては訓練によってある程度改善するものもあります。症状によっては薬剤が有効なこともあります。二次的にうつ病や不安障害などの病気を引き起こすこともあり、その場合は二次的な症状の治療を行います。
当院での発達障害についてのセミナー(でこぼこ勉強会)やコミュニケーションスキルについての集団療法(SST)に参加することで、自分の得意と不得意を知り、対人関係の問題を振り返り、困りごとへの対処法を学んでいきます。必要に応じて環境調整をお手伝いします。

適応障害

どんな病気?
ある特定の状況や出来事が耐え難いストレスとなり、それが原因で日常生活に支障をきたす程の気分や行動面の症状が現れる病気です。ストレス要因は職場、学校、人間関係などはっきりしていて、それを取り除くと症状は次第に改善します。ストレス要因から離れたにも関わらず、憂うつ気分や意欲低下などの症状が長期間続く場合は、うつ病が生じた可能性もあります。

症状
【精神的な症状】
  • 気持ちの落ち込み
  • 強い不安
  • 焦りや緊張
  • 怒りっぽくなる

【身体的な症状】
  • 不眠
  • 倦怠感
  • 動悸
  • 手の震え
  • めまい
  • 下痢や腹痛

【行動面の問題】
  • 遅刻、早退や欠席
  • 暴飲暴食
  • 生活リズムの乱れ

治療
環境調整により体調を崩すきっかけとなったストレス要因を取り除くことが必要ですが、取り除くことが難しい場合も多いです。その場合、カウンセリングによって自分のストレスのとらえ方の癖を知り、克服できそうなストレスから取り組んで、できることを少しずつ増やしていきます。症状がつらくて仕事や家庭などの社会生活や日常社会が十分に送れない場合は、抗うつ薬や抗不安薬、漢方薬などを用いることもあります。

睡眠障害/不眠症

どんな病気?
睡眠障害の中でも最も多いのが不眠症です。寝つきが悪い、途中で目が覚めてしまう、朝早くに目が覚めてしまう、などの症状があります。睡眠の質が低下することで、日中の眠気やだるさ、疲れが取れない、集中力低下、抑うつ気分などが起こり、日常生活に支障が出ている場合に不眠症と診断されます。ストレスや心配事、睡眠覚醒リズムの乱れ、慢性的な痛み、呼吸の問題、うつ病などの精神疾患が原因となることがあります。

症状
  • 寝付くまでに時間がかかる
  • 寝付けても途中で起きてしまう
  • 朝とても早くに目が覚める
  • 夢を見るなど浅い眠りが続き、熟眠感がない
  • 疲れが取れず、日中の眠気や倦怠感が強い

治療
症状や原因によってその治療は様々です。生活習慣を整える、カフェイン摂取や喫煙習慣を見直すだけでも改善に向かうことがあります。睡眠薬や漢方薬など患者さんに合った治療を行います。最近では、依存性の少ない睡眠薬も登場しましたので、お気軽にご相談下さい。
必要に応じて、睡眠時無呼吸症候群の検査等を行い、適切な治療に繋げていきます。

認知症

どんな病気?
誰しも加齢に伴う脳の老化で、物覚えが悪くなる、人の名前が思い出せないなど、年齢相応の“もの忘れ”が出てきます。一方、認知症は、何らかの病気によって脳の神経細胞が壊れるために起こる症状や状態のことで、“もの忘れ”とは異なります。認知症が進行すると、理解力や判断力が徐々に落ちてきて、やがて日常生活に支障が出てくるようになります。認知症の原因となる病気は様々ありますが、“アルツハイマー型認知症”、“レビー小体型認知症”、“血管性認知症”、“前頭側頭型認知症”が代表的です。

症状
  • 昔のことは覚えているのに、新しく経験したことをすぐに忘れてしまう
  • 財布・通帳・衣類などを盗まれたと人を疑うようになる
  • 今までできていたこと(例:料理、掃除、金銭管理)の手順がわからなくなる
  • 日付や時間が分からなくなる
  • 家族の顔が分からなくなる
  • 些細なことで怒りっぽくなる
  • 気持ちが落ち込みやすくなる
  • これまで楽しかったことが楽しめなくなる
  • 実際には見えないものが、ありありと見える
  • 家の中を行ったり来たりして落ち着かない

治療
認知症に伴う行動面の問題への対処を相談することがもっとも重要になります。認知症の進行を遅らせる薬剤もいくつか出てきており、本人や家族と相談しながら、そうした薬剤を始めていくことも可能です。そのためには早期診断と早期治療が大切です。

月経前症候群(PMS)/ 月経前不快気分障害(PMDD)

どんな病気?
生理1週間前くらいから感じる、イライラ、憂うつ気分、不安、感情の起伏が激しい、胸の張り、腹部違和感といった心身の様々な不調を生じます。生理が始まると症状が和らぐこともあり、生理が終わるまで症状が続くこともあります。

症状
【精神的な症状】
  • 強いイライラ感
  • 憂うつ気分
  • 不安な気持ち
  • 感情の起伏が激しい
  • 気力がわかない
  • ボーっとして集中できない
  • すぐに泣けてくる
  • 気持ちがコントロールできない感じ
【身体的な症状】
  • 過眠、眠くて仕方ない
  • 過食、食べるのが止まらない
  • 体重増加
  • 胸の張りや圧痛
  • 腹部違和感
  • 頭痛、腰痛

治療
ストレス解消の方法を考えながら、生活習慣の改善を目指します。運動習慣を身につけて、血液の循環を良くしていくことも大切です。漢方薬、抗うつ薬などが有効なことも多いです。
片頭痛と関連することも多く、頭痛のコントロールもはかっていきます。

アルコール依存症

どんな病気?
「酒がやめられないのは意志が弱いせいだ」「根性で酒はやめられる」「どうせやめられない」と思っていませんか。しかし、アルコール依存症は病気であり、アルコールの作用によって飲酒をコントロールできない状態になっています。依存症になると意志の強さや根性では止めることが難しくなります。適切な依存症治療や支援に繋がることが必要です。

症状
  • お酒を飲み始めると酔いつぶれるまで飲んでしまう
  • 今日は止めておこうと思っても飲んでしまう
  • お酒に対する欲求が止められない
  • 手元にお酒が置いてないと買いに走る
  • お酒が切れたときに、手が震える
  • 若い頃に比べてお酒がかなり増えている
  • 昼間からたびたびお酒を飲む
  • 繰り返し飲酒運転をしてしまう
  • 酔って屋外で寝てしまったことが何度もある
  • お酒を飲まないと寝付けない
  • 不安なことがあるといつもお酒で紛らわす

治療
当院ではアルコール治療プログラムを実施しています。患者さんと相談しながら、アルコール依存症の治療薬を服用してもらうこともあります。依存症には再発しやすいという特徴があります。そのために継続的な支援が必要になります。
依存症から回復するには、支援者との関わりを通じて、これまでの生活を見直し、これからの行動を変えることが大切です。少しずつ「お酒のいらない生き方」を身につけていきましょう。

ギャンブル依存症

どんな病気?
パチンコなどの遊戯、競馬や競艇、株式投資などに嵌まってしまい、経済的、社会的、家庭的な問題が生じているにもかかわらず、そこから抜け出せない状態です。当初は何か満たされない気持ちを埋めるために、大勝ちしたときの達成感や自己有能感が得るために、のめり込んでいきますが、途中からは負けたお金を取り戻すために深追いし、精神的、経済的に追い詰められていきます。

症状
  • 週に何回もパチンコ店に通う
  • 仕事中もギャンブルのことばかり考えている
  • 家族の大切な用事をすっぽかして、ギャンブルに向かう
  • ギャンブルで勝てる自分はすごく優秀だと思う
  • より大きなお金が賭からないと興奮できない
  • 寂しい気持ちをギャンブルで紛らわせる
  • ギャンブル問題で家族から問い詰められる
  • 負けたお金を取り戻すために、さらにお金をつぎ込む
  • ギャンブルで負けたお金はギャンブルで取り返せると信じている
  • 借金したお金でギャンブルをする
  • ギャンブルから足を洗うとの誓約書を書かされた

治療
ギャンブルに関わる問題を整理して、これまで囚われていたギャンブルに対する過度な楽観を見直していきます。今の生活の寂しさや空虚感がギャンブルを続ける動機になっているなら、これからの生活における新しい目標を一緒に考えていきましょう。経済的な問題が進んでいる場合でも、精神保健福祉士が相談に応じて、解決の糸口を探していきます。

心的外傷後ストレス障害(PTSD)

どんな病気?
自分自身の命や安全が脅かされる出来事、または他者(特に家族など近しい他者)の命が脅かされる出来事に遭遇したときに、誰しも精神的に大きな衝撃(トラウマ)を受けます。
その衝撃を乗り越え、人間的な成長に繋がっていくこともありますが、衝撃の大きさから様々な後遺症が残ることもあります。代表的な後遺症が心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれる症状です。以下のような症状が複数組み合わさって生じます。どのような症状の組み合わせになるかは人それぞれです。

症状
  • フラッシュバック(トラウマとなった過去の出来事が、今まさに起きているように体験する)
  • 悪夢(恐怖を伴う夢を繰り返し見る)
  • トラウマ記憶が繰り返し想起され、苦痛を感じたり、身体がこわばったりする
  • トラウマに関連する場所を避けて、外出することさえ怖くなる
  • 気持ちが麻痺して、感情が感じられなくなる
  • 「世界は危険と恐怖で満ちている」といった認知のゆがみ
  • 周囲に対して警戒心が強く、人の顔色ばかり見てしまう
  • 常にイライラして、誰かに怒りをぶつけたくなる
  • ちょっとした物音に身体がビクッと反応する
  • 普段から過剰に緊張するため、疲れやすさが続く

トラウマの後遺症は上記のようなPTSD症状のみに留まらず、以下のような様々な症状が生じることがあります。
  • 幻視(特に黒い影が見えるなどの幻視)
  • 幻聴(特に「死ね」「バカ」などの侵襲的な内容)
  • 妄想(認知のゆがみが発展して、「周囲の人たちが私を狙っている」などの被害妄想)
  • 気分の不安定さ
  死にたいと思うほどのうつ症状の後に、気持ちが高揚して、何でもできるような気になる
   季節の変わり目に気持ちが沈み、身体が思うように動かない
   月経前はイライラが抑えられず、家族に当たり散らす 
  •  パニック発作(電車の中などの状況に限定されない繰り返す発作的な不安)
  • 解離症状
   自分が自分でない感じがする
   特定の場面や時間帯の記憶が抜け落ちている
   記憶にない行動があり、その間に何をしているかわからない
   手や足が思うように動かず、まともに歩けないときがある
   別の人格が自分の代わりに生活してくれる
  • 強迫症状
   自身が穢れたものと感じて、傷つくまで手や身体を洗う
   自分の行為に確信が持てず、何度も繰り返し確認する
  • 痛み(神経系の調節困難から頭痛、関節痛などの慢性痛が生じる)

治療
安全の確保、安心感の獲得のため環境調整を優先します。そのうえで、気分の安定化のための薬剤調整やトラウマについての心理教育を実施します。背後に潜んでいる可能性がある発達の問題を評価し、その特性に応じた対応を相談していきます。EMDR、ホログラフィートーク、ボディコネクトセラピーなどのトラウマの専門的な治療の実施も可能です(当院では有資格者が複数名おります)。

てんかん

どんな病気?
てんかんは、てんかん発作を繰り返して起こす脳の病気です。てんかんにより様々な臨床症状がみられます。年齢や性別、人種に関係なく発病します。誰にでも起こりうるありふれた病気で有病率は約0.5%~1%とされており、約100人に1人てんかんに罹患していることになります。決してまれな病気ではありません。高齢発症も多く、中には認知症との鑑別が必要な場合もあります。

症状
てんかん患者さんに起こるてんかん発作には過剰な電気的興奮の起こる部位や電気的な広がりにより分類がなされています。代表的な分類・症状に関しては下記のとおりです。(成人のてんかんに関しての記載を中心にしています)

Ⅰ.焦点起始発作(部分発作)
過剰な電気的興奮が脳の一部分から起こる発作です。意識障害の有無で焦点意識保持発作(単純部分発作)と焦点意識減損発作(複雑部分発作)に分け、部分発作から全体に広がる発作を焦点起始両側強直間代発作(二次性全般化発作)と分類しています。

焦点意識保持発作(単純部分発作)
意識障害はなく発作の始めから終わりまで症状を覚えている。手足や顔の突っ張り、ガクガクとけいれんする、体全体が片方に引っ張られる。などの運動に関する発作やチカチカした点や光が見える、何かが見える、音が響く、聞こえにくくなるなどの視覚や聴覚の異常の発作や頭痛や吐き気を催すなどの自律神経の異常をきたす発作があります。

焦点意識減損発作(複雑部分発作)
徐々に意識が遠のき周りの状況が分からなくなって意識障害がある。急に動作が止まって、ぼんやりとした表情をする。周囲を歩き回る。体の一部分をたたいたりなでたりする。口をモグモグとさせるなどの無意味な動作を繰り返す発作があります。

焦点起始両側強直間代発作(二次性全般化発作)
脳の一部分から始まって全般化し強直間代発作に発展する発作です。見た目は(後述の)全般起始発作の強直間代発作との見分けが難しいので脳波の測定で診断します。

Ⅱ.全般起始発作(全般発作)
初めから脳全体に過剰な電気的興奮が起こります。そのため多くの場合で発作の始まりから意識が障害されています。
運動発作と非運動発作(欠神発作)に分類されています。

運動発作
1.強直間代発作:意識を突然失った後、目を見開いて四肢に力を入れて突っ張った後全身をビクンビクンとけいれんさせる発作
2.強直発作:肩を中心に両上肢に力が入るものや睡眠中に目をうっすらと開いて眼球が上転する。呼吸が浅くなるなどの症状がみられる。
3.間代発作:規則的・周期的に体がビクンビクンと反復して動く発作
4.ミオクロニー発作:全身または顔面や四肢の一部が一瞬ピクッとする発作
5.脱力発作:筋緊張が急に低下、下肢に起こるとストンと垂直に転倒してしまう発作
6.てんかん性スパズム(点頭発作):典型的なものは頭部を頷くように前屈させて四肢を挙上させる発作

非運動発作(欠神発作)
小児でよくみられ、意識障害が突然始まって突然終わる発作で全く体が動かないこともあれば、瞼や口角がピクピクとしたり、体が傾いたりすることもあります。

治療
発作時の様子など詳細な問診と脳波測定を行い、てんかんの分類・診断を行います。基本は抗てんかん薬単剤での薬物治療を心がけています。単剤治療では薬物の相互作用を避けることができ、副作用の出ないように薬剤を十分量使用することが可能になるからです。単剤での治療が困難な際には2剤目の追加を実施しています。多剤治療となっているケースもありますが、当院ではできる限りの薬剤調整を行っています。
また精神科である当院ではてんかんに合併することが多い精神症状(うつ症状、精神病症状)に対し、抗うつ薬、抗精神病薬の使用も実施しています。
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美喜和会 オレンジホスピタル
〒569-1197
大阪府高槻市大字奈佐原10番10
TEL:072-693-0052(代表)
TEL:072-629-9001(連携課直通)
FAX:072-693-0025

オレンジ訪問看護ステーション
〒569-1197
大阪府高槻市大字奈佐原10番10
TEL:072-696-7850(直通)
FAX:072-693-0025

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